ウルトラセブンの謎を徹底的に考察・研究 第42話『ノンマルトの使者』を解き明かす
ウルトラセブン考察・研究 各話研究42
第42話 ノンマルトの使者
ノンマルトの使者
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ストーリー
休暇の日にダンと一緒に海に来ていたアンヌの前に一人の少年が現れ、シーホース号による海底開発実験をやめないと大変なことになると言った。
その直後に爆発が起こり、シーホース号は炎上してしまった。少年の言葉は本当だったのだ。
極東基地にもアンヌの前に現れた少年の声で電話が入り
「海底はノンマルトのものなんだ」「人間が海底を侵略したらノンマルトは断然戦うよ」「ねえ 長官にちゃんと伝えておくれよ 海底はノンマルトのものだから侵略したりすると大変なことが起きるよ」
と言ってきていた。
ダン(ウルトラセブン)の故郷M78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいるが、少年の言うノンマルトとはいったい何者なのか…?
アンヌが、あの少年を見つけ出し、ノンマルトとは何なのかということを尋ねると、それに対する少年=真市の答は「本当の地球人さ ずっとずっと大昔 人間より前に地球に住んでいたんだ でも人間から海に追いやられてしまったのさ 人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど本当は侵略者なんだ」という驚くべきものだった。
そんな折、海から蛸のような怪獣が現れ、暴れ出した。ウルトラ警備隊は、その怪獣がノンマルトと思い込み、攻撃し、ウルトラホーク1号とハイドランジャーで怪獣を倒す。
しかし、再び基地には真市少年から電話が入り、ウルトラ警備隊が倒したのは怪獣ガイロスでありノンマルトではなく、ノンマルトは二ヶ月前に行方不明になっていたイギリスの原子力潜水艦グローリア号で攻撃を開始すると予告をしてきた。
その予告どおり、ノンマルトはグローリア号での攻撃を開始し、実は死んでいなかった怪獣ガイロスも再び暴れ出した。
ダンは真市少年の制止を振り切ってウルトラセブンに変身し、ガイロスを倒し、ウルトラ警備隊はハイドランジャーでグローリア号を撃沈した。
そして、海底に発見したノンマルトの海底都市までもウルトラ警備隊は全滅させてしまった。
後味が悪いかたちで事件が解決した後、海に来ていたダンとアンヌが「ウルトラ警備隊の馬鹿野郎」と叫ぶ真一を見つけ、かけ寄ると、そこでは一人の女性が2年前に亡くした子供の墓碑に花を供えていた。そして、その墓碑には「真市安らかに」という文字が刻まれていた。
ウルトラセブン 第42話『ノンマルトの使者』の謎
真市がノンマルトの使いとなるまでの経緯は?
『ノンマルトの使者』は「2年前、この海で死んだ少年の魂がノンマルトの使いになってやって来たのでしょうか それにしてもノンマルトが本当に地球の先住民だったかどうか それは全てが消滅してしまった今 永遠の謎となってしまったのです」というナレーションとともにエンディングを迎えます。
ダンとアンヌの前に現れた真一は、やはり2年前に海で死んだ少年の幽霊だったと考えるべきなのだと思いますが……なぜ幽霊の真市がノンマルトの使いとなったのでしょうか?
海で死に、幽霊となった真市がノンマルトの使いとなるまでには、いったいどのような経緯があったのでしょうか?
真市が言ったように人間(現在の地球人)が侵略者だったとしたら、なぜ人間は文明を退化させ、自分たちが高度な文明を持っていた事を忘れてしまったのか?
真市が言っていたように人間(現在の地球人)が本当は侵略者で本来の地球人=ノンマルトを海底に追いやったのだとしたら……人間は、他の惑星から飛来し、地球を侵略した頃に持っていた文明や技術を退化させてしまった事になるはずです。
なぜ人間は文明や技術を退化させてしまったのでしょうか?
そして、自分たちが高度な文明を築いていた事をなぜ忘れてしまったのでしょうか?
人間(現在の地球人)は本当に侵略者だったのか?
『ノンマルトの使者』を見て、ノンマルトと名乗った(真市がノンマルトと言っていた)者たちは、実は本来の地球人を装い、地球人(地球防衛軍)を混乱させる事を狙った侵略者だったのではないかと考えている人も少なくはないようです。
その考え方が的を射ていて、ノンマルトと名乗った者たちは実は本来の地球人ではなくて侵略者だったのでしょうか?
それとも、やはりノンマルトは本来の地球人だったのでしょうか?
ウルトラセブン 第42話『ノンマルトの使者』の謎への推察
幽霊となった真市はシーホース号の近辺を調査するノンマルトと出会ったのか?
自分たちの海底都市の近くで行われているシーホース号の海底開発実験に脅威を感じたノンマルトは、シーホース号近辺を調査している内に幽霊となった真市と出会ったのではないでしょうか?
そして、幽霊である真市は、ノンマルトとテレパシーのように心の声で会話ができたので、ノンマルトが何者であり、人間との関係がどのようなものであるかをすぐに理解した上でノンマルトの者たちと絆を結び友達になっていった……私はそんなふうに考えています。
この推察が的を射ていて、幽霊である真市がノンマルトと心の声で会話をしていたのだとすれば……ノンマルトが真市に嘘をつく事は不可能だったはずです。
したがって、その場合にはノンマルトこそが本来の地球人だというノンマルトの主張は真実だったという事になるはずです。
大きな戦争(核戦争?)で文明の産物を全て失う事になったためか?
本来の地球人(ノンマルト)を海底に追いやり、地球を侵略したような種族ならば、地球侵略後に大きな戦争(核戦争?)を起こし、自滅の道を辿ったとしても不思議はありません。
しかし……核戦争などの大きな戦争が起こったとしても、高度な文明が、その痕跡を全くと言っていいほど残さずに消えてしまうという事はまず考えられないと思います。
しかし、現在の地球人の祖先が実は侵略者であった事や文明を滅ぼすような大きな戦争(核戦争?)があった痕跡を残さずに大きな文明が滅んでいたのだとしたら……それは、文明の痕跡を残すまいとする意志を持って動いた者たちがいたためだったのではないでしょうか?
もしも、そんな者がいたとしたら、その者たちは、子孫に自分たちが侵略者の末裔であるという十字架を背負わせまいとして、侵略の痕跡・文明の痕跡を消したのかもしれません。
そして、皮肉なことに目論み通りに子孫である人間たちが自分たちが侵略者の末裔であるという自覚を全く持たなくなっていたために……その子孫たちが、海底で生き伸びていたノンマルトを滅ぼす事になってしまった……そういう事だったのかもしれません。
ノンマルトと名乗った者が侵略者という事も全く考えられなくはないが…
たしかにノンマルトが本来の地球人を装った侵略者だったという事も全く考えられない事ではないのかもしれません。
しかし、奪ったグローリア号や怪獣ガイロス程度の戦力しか持たなかったノンマルトが実は侵略者だったとは私にはどうしても思えません。やはり、ノンマルトは本来の地球人だったのではないでしょうか。
ウルトラセブン 第42話『ノンマルトの使者』の研究ポイント
もしも1968年の渋谷に同じ名前のビアホールが2軒なかったら…
『ノンマルトの使者』の脚本を書きあげた金城哲夫氏は、渋谷のビアホールで満田監督と待ち合わせ、その脚本を見せるつもりだったようです。
しかし、同じ名前のビアホールが渋谷に2軒あったために二人は違う店に行ってしまい、結局、その日、二人は会えず、自宅に帰った金城氏はもう一度脚本を読み直し、それを面白くないと感じて燃やしてしまい、『ノンマルトの使者』の脚本を書き直したということです。
もしも、1968年の渋谷に同じ名前のビアホールが2軒なく、金城氏と満田監督がその日会っていたら……私たちが現在知っている『ノンマルトの使者』は存在しなかったというわけです。
『ノンマルトの使者』の続編(?)『わたしは地球人』
ご存知の方が多いだろうとは思いますが『ウルトラセブン1999最終章6部作』の第6話『わたしは地球人』は『ノンマルトの使者』の続編と言うべき内容になっています。
そして、この『わたしは地球人』内では人間がノンマルトの住む地球を侵略した時の様子も描かれています。
続けて 各話研究 第43話『第四惑星の悪夢』のページをご覧ください
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