ウルトラセブンの謎を徹底的に考察・研究 『300年間の復讐』実映像化のためにアンヌだけがウルトラ警備隊の隊員の中で一度も主役になっていない!!
ウルトラセブン考察・研究 友里アンヌ4
『300年間の復讐』未映像化とアンヌに主役の回がない事
ひし美ゆり子写真集 All of Anne : plus(オール・オブ・アンヌ:プラス)
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アンヌ以外は全員が『ウルトラセブン』の主役を務めている!?
『ウルトラセブン』ではウルトラ警備隊の隊員たちが主役として描かれた回がいくつもありましたね。
●キリヤマ隊長=『明日を捜せ』(他に『V3から来た男』をゲストキャラ・クラタ隊長とのダブル主役と考える事もできる)
●フルハシ=『北へ還れ!』
●ソガ=『必殺の0.1秒』
●アマギ=『700キロを突っ走れ!!』『悪魔の住む花』
といった具合にです。(ダンが主役の回はありすぎるくらいにあるので、あえて取り上げません。そもそも『ウルトラセブン』の主役はダン=セブンなわけですからね)
しかし……こうして各隊員たちの主役回を挙げていってみると、明確に「この回の主役はアンヌ」と言えるような回が一話もない事になってしまうんですよね。
アンヌの活躍度が高かった回・アンヌの存在感が強かった回
●『ダークゾーン』=ペガッサ星人が潜んでいたアンヌの部屋が物語の主舞台となり、ダン、アンヌ、ペガッサ星人の3者が中心となった物語
●『宇宙囚人303』=終盤はアンヌ救出劇
●『狙われた街』=アンヌの叔父の死が大きな意味を持った物語
●『怪しい隣人』=アンヌの友人の弟が隣人を怪しいと睨んだ事から始まった物語
●『地震源Xを倒せ』=アンヌはシャプレー星人に騙されたり、そのシャプレー星人をソガとともに撃退したりした
●『人間牧場』=アンヌの命が風前の灯火に
●『勇気ある戦い』=アンヌは友人の弟の手術を成功させる事が任務であるかのように振る舞い、クレージーゴンに飲み込まれそうにもなる
●『ノンマルトの使者』=ノンマルトの使者=真市と接触し、水着姿も披露
●『恐怖の超猿人』=アンヌを執拗に追い詰める猿人間からの逃走劇
●『史上最大の侵略 後編』=クライマックスはダンとアンヌの別れ
といったようにアンヌの活躍度が高い回、アンヌが強い存在感を放っている回は多いです。ただ、「この回の主役はアンヌ」と言えるような回というのは、残念ながらないんですよね。
アンヌが主役を務めるはずだった『300年間の復讐』
『ウルトラセブン』で『アンドロイド0指令』『地底GO!GO!GO!』『700キロを突っ走れ!!』『悪魔の住む花』『侵略する死者たち』などの脚本を書き、さらに実相寺昭雄監督や野長瀬三摩地監督や市川森一氏とともに何本かの脚本を書いてもいる上原正三氏は『300年間の復讐』というアンヌが完全に主役の話の脚本も書きあげていました。
コアなファン(マニア)の間では有名なこの『300年間の復讐』は
特別訓練中に悪天候のために山中で一人になってしまったアンヌは、濃霧の中で甲冑人間に追われるうちに洋館に辿り着く。
アンヌを迎え入れてくれた洋館に住む男は、実は300年前に地球にやって来たトーク星人で、アンヌに瓜二つの彼の妹シシーは、地球人によって殺されていた。髪の毛が赤いという理由だけで、300年前に地球人はシシーを焼き殺してしまったのだ。
友好のために地球に来たトーク星人は、シシーを殺されてから復讐の鬼となり、館に近づく人間を甲冑人間に殺させながら地下室で兵器を開発していた。
トーク星人はシシーとアンヌを混同してしまい、アンヌを自分の館に留めようとするが……アンヌ救出のために駆け付けたウルトラ警備隊は超兵器8(エイト)によってトーク星人を倒す。
しかし、トーク星人の死体から巨大な悪鬼が抜けだし、暴れ出す。ダンはウルトラセブンに変身し、悪鬼と戦うが、さしものセブンもトークの怨念の塊である悪鬼に苦戦し、窮地に陥る。
だが……復讐なんていけないと呼びかけるアンヌの声を聞いて、悪鬼が力を緩めたことによってセブンは窮地を脱し、エメリウム光線を放つ。
悪鬼は、トーク星人の姿に戻った後、風化し、消えていってしまった。憎しみがトークを鬼にし、愛して許すことでトークは元の姿に戻ったのだ。
といった粗筋の物語で、完全なるアンヌ中心の物語でした。
映像化されていたら『ウルトラセブン』傑作回の一つになっていたのは間違いないと思いますが……悪鬼の映像化が難しいなどの理由によって映像化が見送られてしまったのは残念でした。
それに、この『300年間の復讐』が映像化されていれば、アンヌも他のウルトラ警備隊の隊員たちと同様に主役回を持つことになっていたのですが……そういう意味でもちょっと残念です。
主役回がなくても、やはりアンヌは永遠のヒロイン
確かに『ウルトラセブン』全49話の中に「この回の主役はアンヌ」と言い切れるような回は一度もなかったかもしれません。
しかし、だからといって、そんな事で『ウルトラセブン』におけるアンヌというヒロインの価値が下がるわけではもちろんありません。
『300年間の復讐』が映像化されなかった事によって主役回こそないままとなってしまいましたが、上記のようにアンヌの活躍度が高かった回・アンヌの存在感が強かった回はたくさんありますし……『ウルトラセブン』の作品世界はアンヌというヒロインなしに成立しないものだったとさえ言えると思います。
主役回があろうとなかろうとアンヌはアンヌに変わりありませんし、彼女が永遠のヒロインであることも間違いないはずです。
続けて 友里アンヌ5 『最終回でダンの正体を知った後のアンヌの言葉についての考察』のページをご覧ください
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