ダンの「西の空に明けの明星が輝く頃」という言葉について

ウルトラセブン・クラシック
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「西の空に明けの明星が輝く頃」という言葉は未だに論議を引き起こし続けている!!

「西の空に明けの明星が輝く頃 一つの光が宇宙へ飛んで行く それが僕なんだよ さよならアンヌ」

最終回『史上最大の侵略』でアンヌとの別れの際にダンが言った、この言葉は『ウルトラセブン』の放映が開始されてから半世紀を経た今日までずっと論議を引き起こし続けてきています。

この言葉が論議を引き起こすようになったのは、明けの明星=金星が輝くのは常に東の空であって、西の空に明けの明星が輝く事はあり得ないからです。

では、ダンは「東の空に」と言うべきところを「西の空に」と言ってしまうという単純な言い間違いをしていたのでしょうか?

「明けの明星が輝く頃」にセブンが「西の空」に飛んで行くという意味の言葉だったのか!?

実は私は以前に書籍か雑誌で「西の空に明けの明星が輝く頃」というダンの言葉の「明けの明星が輝く頃」という言葉は時間帯を、そして、「西の空に」という言葉はウルトラセブンが飛んで行く方向を表しているのだという解説を読んだことがあります。(残念ながら、その書籍か雑誌が何だったかは忘れてしまいました ご存知の方がいらしたら教えていただけるとありがたいです)

私は、その後、しばらくの間、ずっとアンヌとの別れの際に「西の空に明けの明星が輝く頃 一つの光が宇宙へ飛んで行く それが僕なんだよ さよならアンヌ」と言ったダンは、セブンに変身しパンドンを倒した後(=明けの明星が輝く頃)、西の空に飛んでいったのだと素直に信じ込んでいました。

しかし……『史上最大の侵略 後編』の映像を観ると、セブンは、明けの明星が輝く方向の空に飛んで行っているんですよね。

私が読んだ書籍か雑誌の解説は間違っていて、やはり、セブンは明けの明星が輝く頃に東の空に向かって飛んで行ったのであり、ダンは「東の空に」と言うべきところを「西の空に」と言い間違えていたという事になるのでしょうか?

脚本にはなかった「西の空に明けの明星が輝く頃」という言葉

ダンが「西の空に明けの明星が輝く頃」と言ったのは『史上最大の侵略』の脚本を書かれた金城哲夫氏が

●西方浄土がある方向=「西」に向かってウルトラセブンを去らせることによってモロボシ・ダンは死んで去っていくことを暗示した

●金城氏は自らの分身であるウルトラセブンが帰る方向を自分の故郷である沖縄がある「西」(南ではないの?)にした

というように「西」という方向に特別な意味を持たせていたからなのではないかと推察している方たちがいるようです。

また、金城氏が単純に明けの明星が輝く方向を勘違いしておられたのではないかと推察している方もいるようですね。

しかし、元々、金城氏が書いた脚本には「西の空に明けの明星が輝く頃」という言葉は出てはこないんです。

「明けの明星が輝く頃」に「東の空」に飛んで行ったセブン

「一番星の出る頃、西の空をみてくれ、大きな光りが宇宙に帰って行く………」

金城氏が書いた脚本では、自分の正体を明かしたダンが、アンヌの目の前でウルトラアイを着眼し、ウルトラセブンに変身した後で、こう言い、アンヌに「光りが………?」と問われると「それが、私だ………」と応え、飛び立って行くことになっていたんです。

「一番星の出る頃」というのは明らかに夕方ですが、最後の戦いを終えたセブンが宇宙へ去って行くのが完成作品では「明けの明星が輝く頃」(=夜明けの頃)に変わったというわけですね。

そして……明けの明星が輝いているのとは逆の方向に光となったセブンが飛び去っていけば、「明けの明星が輝く頃」に「一つの光」となったセブンが「西の空」へ飛び去っていった事になっていたのですが……。

実際には一つの光となったセブンが明けの明星が輝いている方向に飛び去っていったために話がなかなか丸く収まらなくなってしまったわけです。

【2017年11月7日】

続けて モロボシ・ダン6 『ダン=セブンが陥った絶体絶命の危機』のページをご覧ください

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